キャタピラージャパンで働く WORK STYLE

座談会(D&Iへの取り組み/明石編)Part2

お互いの個性や価値観を尊重して、
より働きやすい環境を

  • 油圧ショベル開発本部/構造設計部
    油圧ショベル開発本部 副本部長 兼 構造設計部長(WILチームリーダー)
  • 明石事業所 製造部
    次長(WILチームリーダー)
  • ビジネスサポート部
    Financial Analyst2(WILプレジデント)
  • 油圧ショベル開発本部 車両計画部 大型機計画課
    エンジニアリング プロジェクトチームリーダー(WILメンバー)
  • Integrated Value Chain
    Supply Chain Process Manager(WILメンバー)

WIL

WIL(Women in Leadership)は、変化の著しい世の中のニーズに対応する為、多様な考えを持つ人材が、Caterpillarの事業に参画できる環境を会社として推進する中で生まれた、トップダウンの組織。
明石WILでは、Culture(文化)、Communication(コミュニケーション)、Development(発展)、Workforce(人員)、Workplace(職場)の5チームで活動を行っている。
外部講師による講義や他社の成功事例を積極的に取り入れ、ブランド力アップにも力を注ぎ、変化への歩みを続けている。

WIN

WIN(Women's Initiative Network)は、Caterpillarで認定され、共通の関心事に基づき社員が自発的な活動を展開するERG(Employee Resource Group)の一つ。
WINでは、社員一人ひとりの多様性を受容し生かす企業文化を育み、メンバーの成長、女性の活躍の場を広げることを活動の目的としている。
地域ごとの活動を行う組織として、世界各拠点に支部があり、日本では2013年に初めて明石WINが設立され、定期的な意見交換や地域独自のイベントの企画・運営をしている。

WILとWINの活動に携わって気づいたこと

Shorey
みなさん、WILやWINの活動に携わる中で、ご自身のD&Iについての考え方や感じ方が変わってきたということはありますか?
清 水
ありますね。私は社歴は長いのですが、WILのメンバーとしては新参者なんですよ。私自身は公平な目で働き方や個人の権利を見ているつもりでしたが、どこかで古い企業文化を引きずっている部分がありました。昔のしきたりに染まっていると、気づかないうちに人を傷つけてしまうこともあるのではないか―そう自問する習慣が身につきましたね。
辻 本
おっしゃるとおりですね。以前は「女性はお子さんが小さいうちは早く家に帰る必要があるから、無理なくそれができるよう環境を整えるべきだ」と考えており、それが女性の働きやすい職場づくりと思っていたのですが、WILの活動をするうちに、「いや、待てよ、それは女性に限ったことじゃないだろ」と思い直しました。男性社員が子どものために早く帰ってもいい。
米 田
D&Iにおいて大切なのは、制度を整えることだけではなく、「自分自身が意識を持って選択する」ことなんですよね。ワークライフバランスと言いながら「他の人が働いているのに自分が早く帰るのは気が引ける」と考えるのはおかしい。後ろめたく思う気持ちがあるうちは、まだ古い考え方に引きずられています。
齋 藤
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)ですね。私も入社したばかりの頃は「育休後は軽い仕事しか任されない」と漫然と思っていたのですが、よくよく考えれば合理性はないのです。本人が望み能力があるなら、それに見合った仕事が普通に任されるほうが良い。社員自身にとっても会社にとっても。また、とかく女性とか子育てとかに焦点がいきがちですが、人間一人ひとり事情や価値観は違うので、それらをすべて包括しなければD&Iの意義はありませんよね。

D&Iを浸透させるうえでの課題

Shorey
私はD&Iを促進する際は、現在のグループや思考を「排除する」べきではなく、様々な人々や考えを「加える」ことで、私たちのソリューションや社会をより強くするべきだと考えています。みなさんはどう思われますか?
清 水
今はWILやWINの活動を通して社内横断的にD&Iの気風を醸成しているのですが、私たちが主導するのではなく、自然に広がっていくべきなのですね。明石事業所は開発と製造の拠点なのですが、同じ社内でありながらいささか温度感に違いがある。というのも、開発は30年前から海外から来たメンバーが一緒に働いていて、日常的に多様性があった。それに対して製造はドメスティックでした。しかし、この頃は徐々に多様性を享受する感覚が、製造にも入りつつありますね。
辻 本
そういうときに、会社がD&Iを目指すのだから製造部門も従わなければならない―という発想ではダメなんですね。私たちが製造現場に入って話を聞いてみることが大事。一例をあげると、工場で困っていることは何かと訊ねたら、圧倒的に多かったのはトイレでした。トイレの環境を改善したところ非常に好評で、製造のみなさんも「自分たちから意見を伝えるのも大切だ」と思うようになった。
米 田
清水さんがおっしゃった「自然に広がるべき」は大賛成ですね。たとえば、上司が「残業をやめて早く帰れ」というのはミスリードなんですよ。残業するのも、早く帰るのも本人が決めることなんですから。
齋 藤
私の部署は上司が海外の人なので、最初から社員の自主性が当たり前でしたね。私がWINのリーダーになったときも、「その経験は本業でも役立つから良いね!」と励ましてくれました。

D&Iの理念、その効果、それを支えるインフラ

Shorey
D&Iは「会社で決まったからこうする」というものではないのですね。個性や価値観の重視という、人間として当たり前のことでしょう。人間は一人ずつ違います。だから働き方についても、様々なタイプの職務、仕事の場所と時間、個々のニーズに柔軟であることが必要です。すべての従業員が同じ職種を望んでいるとか、同じ報酬で動いているとは考えてはいけません。
齋 藤
D&Iの原点であり目的でもあるのは、互いの違いに寛容になることですね。D&Iというと、男性社会への女性の進出といった印象を受ける方が多いと思います。スタートラインはジェンダーの解消であっても、究極的には個人に対する尊重になるべきでしょうね。
清 水
D&Iはルールありきではないのですね。できるだけ異なった環境や立場の人からの話を聞き入れ、今まで気づかなかったことや常識と思っていたことが、本当に良いのかどうかを見直していく姿勢なのです。そして、だれもが納得できる―言い換えればコンセンサスが得られる形で、変化を続けていけばいい。
辻 本
多様性を推進することがひとつのイノベーションの源泉になる。多様性を尊重する職場は、メンバー一人ひとりが自らの強みを最大限に発揮できる。キャタピラージャパンはこの数年で、特にその効果を実感しているので、これから更に進むでしょうね。
米 田
私は試験的にテレワーク勤務をしてみました。自宅にいながらPCとヘッドセットを用いてオフィスにいるのと同じように仕事をしたわけです。慣れるまでは少し時間がかかると思い、以前から準備はしていたのですが、実際にやってみるとまったく支障はなかったですね。将来的にはテレワークは当たり前になるでしょうね。

D&Iは企業を強くする、
個人を成長させる、そして楽しい

Shorey
「多様性の尊重」は、組織の力も強くします。従業員は尊敬されていると感じられれば、安心して自分のアイデアをチームと共有するので、よりいっそう結束が強まるでしょう。ひいては企業の競争力と弾力性が向上するのです。
清 水
等質の文化や考え方を持っている人間の集合体では、これからの時代の変化やグローバル化に対応するのは難しいでしょうね。多様な考えを受け入れる体質があれば、様々な変化への対応もしやすい。キャタピラーの製品は世界各地で使われています。そのマーケットを理解するうえでも、多様性の受容は不可欠ですね。
辻 本
人材の成長という観点からも、多様性は重要です。異なる人種や国籍の仲間と協業することで、新しい考え方が生まれるし、学ぶところも大きい。優秀な社員はグローバルに活躍できる機会が与えられれば、さらに大きく成長できる。キャタピラーにはすでにその環境があるので、あとは一人ひとりの意識ですね。
米 田
先ほども述べましたように、無意識に刷りこまれている固定概念から脱却するだけのことなんですね。しかし、無意識だから気づかない場合が多い。だから、自分ひとりで考えるだけでなく、どんどん話合うといいのです。大切なのは、変化を恐れないこと。むしろ変化を楽しめるくらいのつもりでいきましょう。
齋 藤
賛成です!「多様でなくてはならない」といった思い込みは危険なんですね。先ほど話に出た「自分の選択」が大前提で、「多様になれる」環境こそがD&Iの趣旨でしょう。
Shorey
みなさん、ありがとうございました! これからも楽しくD&Iを広げていきましょう!
キャタピラーで働くメリット
座談会 バックナンバー